クリニアンクールの中でも最も高級な品揃えのマルシェ・ビロンを歩いているとVバックアームチェアが目に入ってきた。まさかこんなところでStickleyのアンティークに出くわすとは・・・・・博物館以外のところでアンティークのスティックリーを見るのははじめてである。アメリカのオークションでは数千ドルはする品である。もしかしたらフランスなので低い評価になり相場よりも安かったりしないだろうかと期待が頭をよぎる。しかし、店主は何処かへ行ってしまっていない。鍵もかかっている。それでも気になるのでひとまわりした後、戻って聞いてみた。価格は5000ユーロ。店でWarren Hile Studioの復刻品を扱っているだけにひとつくらい本物がほしいところだが、ちょっと手が出ない。 |
後ろの笠木の部分に初期のスティックリー製品のトレードマークが記されている。文献では何度も目にしたが実物は初めて見た。赤だったんだ・・・・そしてシートの裏にはラベルも残っている。これは上質のコレクターズピースだ。5000ユーロでも安いかもしれない。 こちらがスティックリーだとわかったので店主も興味を持って色々と話してくれた。ミュンヘンの家から出たらしい。フランスではまず聞かないような上手な英語だ。ドイツなまりもないみたいである。価値のわかる人に持ってもらいたいとのことでいくらなら買うかとしきりに交渉を迫るが、こちらもコレクターではなく売らなければならないので、いくらユーロが安くなったとはいえこれは中々売れないだろうと思いあきらめた。 |