アン・オブ・クレーブス・ハウス Anne of Cleves House

アン・オブ・クレーヴス・ハウス Anne of Cleves House は、サセックス州の田舎町Lewesにある中世のWealden hall houseで、ヘンリー8世の4番目の王妃、アン・オグ・クレーヴスに領地として与えられたためこう呼ばれているが王妃が実際に訪れたことは一度もない。15世紀のヨーマン(独立自衛農民)と言われる裕福な農民の生活が良くわかる貴重な場所である。家具やインテリアは16~17世紀のオークの時代の家具で統一されており、この時代のアンティークでもここにある家具は、美術館にあるような王侯貴族ののものに比べれば本物を手に入れることは可能なため、興味のある人は現物を確認して、19世紀ものやリプロと本物の違いを知るためにも必見の場所である。

テスターベッド

通常、当時のベッドはシンプルな箱に藁を敷き詰めたものであったが、上の写真ようなベッドは非常に高価で家具の中でも一番のステイタスシンボルであった。フレームにロープを張ってマットレスを敷き麻のシーツと毛布を供えた快適なものでカーテンによって保温とともにプライバシーも保たれた。
フレームには様々なオーナメントが彫刻してあるが、おそらくフランドルの職人の手によるものと思われる。宗教改革の影響もありプロテスタントの多いフランドルの職人たちは英国に移住して富裕層の注文に応じて様々な家具を製作した。


チェスト(16世紀)


ドロワーチェスト(17世紀)



バイブルボックス


コート・カップボード(1600年頃)
左上の写真のようなチェストは15~16世紀までは収納家具の主流で様々な家財道具入れとして使用された。またこれらは必要なときには動かしてテーブルとしても使われる万能家具であった。日本で一般的に言われる引き出しのあるチェスト、Chest of Drawersの登場は17世紀まで待たねばならない。
当時はダイニングテーブルも通常は移動式で、食事のときに箱のような台の上に板をおくだけの簡単なものが主流で、ダイニングテーブルとして専用のテーブルが使われるようになるのはもっと後のことである。これは王侯貴族でも同じでこれは宮廷が常に国内各地を移動するためにも都合が良かった。
このテーブルは16世紀半ばのもので、もともとはStar Innという旅館(現在はLewesのタウンホール)に置かれていた。オークのアンティーク家具でおなじみの深い茶色も製作された当時は白木に近いもので数百年にわたる年月を経て時刻み込まれた時代がこの色を醸し出しており現代家具のように塗装によって色をつけているわけではない。また、背のついた椅子は社会的地位の高い者や賓客、主人などのために用意されたものであり庶民が座れるものではなかった。左下の写真のようなコートカップボードは大陸では見られないグレートブリテン独特の家具で富の象徴として16~17世紀に流行した。
ドアパネルには象嵌細工が施してあり17世紀初頭のジャコビアンの時代の典型的なデザインである。
キッチン

キッチンは地下にあり、大きな暖炉で煮たり焼いたりローストしたりとすべての炊事をこなした。キッチンの様子は19世紀までほぼ変わらなく続き、使用人はここで食事をとった。
Goggin Baby Walker

これは歩行器とでも訳したらよいのか? 回転する柱から突き出した輪の部分に子供を入れて使うもの。子供の行動範囲は限られており英国でも珍しいものとのこと


この時代の素材によって染められた糸

大きなキッチンテーブルは食事用というよりも作業台として使われることが多かった。後の時代になってこれらの使い古しがアンティーク市場に出て、ダイニングテーブルとして現代の生活にも再利用されるようになるとともにひとつのスタイルとして定着し現代ではダイニングテーブルとして多くのりプロダクションが製作されている

パーラー

当時は働く場と住む家は同じであり、家長を頂点として同居する者達すべてが家族として認識され、現代的な血縁関係をもとにした家族という概念はまだなかった。、女性や子供たちが仕事などをしながら滞在する部屋をパーラーと呼び、これはフランス語の話すという単語が語源になっている。
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